脳神経科の症状
脳神経科の症状

脳や神経の病気は、日常的によくある症状として現れることも少なくありません。「様子を見ていてよいのか」「受診すべきなのか迷う」症状について、脳神経科専門医の視点から解説します。
頭痛の感じ方は人それぞれで、ズキズキする痛みや締め付けられる痛み、目の奥の強い痛みなどさまざまです。片頭痛や緊張型頭痛のように繰り返すものもあれば、くも膜下出血などで突然強い頭痛が起こることもあります。
「ただの頭痛で受診していいのか」と迷う方も多いですが、頭痛は多くの方が悩む身近な症状です。「いつもと違う」「薬が効かない」など気になる場合は、早めの受診をおすすめします。適切な診断により重大な病気を見逃さないだけでなく、トリプタンやCGRP製剤、神経ブロックなど専門的な治療につなげることができます。
特に、以下のような症状がある場合は注意が必要です。
これらの「レッドフラッグサイン」がある場合は、早めの受診をご検討ください。
めまいは「ぐるぐる回る」「ふわふわする」「立ちくらみのように感じる」など、人によって感じ方が異なり、吐き気を伴うこともあります。急に起こるものから、長く続く慢性的なものまでさまざまです。
原因も多岐にわたり、耳の異常、脳神経の病気、薬剤、首の影響、ストレスなどが関係します。当院では神経学的診察に加え、MRIや重心動揺検査などを組み合わせて総合的に診断します。強いめまいには点滴治療を行い、必要に応じて投薬や経過観察を行います。脳腫瘍や脳梗塞が疑われる場合は、連携医療機関へ速やかにご紹介します。
手足のしびれや力が入りにくい症状は、神経の通り道のどこかに障害があるサインです。運動神経は脳から脊髄を通って筋肉へ、感覚神経は手足から脊髄・脳へとつながり、動きや感覚をコントロールしています。
診断では、しびれの部位や広がりをもとに神経学的検査を行い、障害の場所を推定します。特に体の片側に急に現れる症状は、脳の異常が関係している可能性があり注意が必要です。必要に応じて頭部MRIや頚椎・腰椎MRIで詳しく調べます。
症状の出方もさまざまで、片側の手足だけのしびれ、手足の先に広がるしびれ、徐々に変化するもの、姿勢で悪化するものなどがあり、原因に応じた適切な評価が重要です。
舌がもつれる、言葉が出てこないといった症状は、脳卒中(脳梗塞・脳出血)の初期サインとしてよく見られます。本人の自覚だけでなく、「話し方がおかしい」「何を言っているか分からない」など周囲が気づくこともあります。脳卒中の合言葉「FAST(顔・腕・言葉・時間)」のように、顔のゆがみ、片腕の脱力、ろれつ障害があれば、すぐに受診が必要です。自己判断で様子を見るのは危険です。
一方で原因は脳卒中だけではなく、パーキンソン病などの神経疾患や、低血糖、感染症などが関係することもあります。当院では全身状態や既往歴を確認し、頭部MRIやCT、血液検査などを組み合わせて迅速に評価します。
歩くときのふらつきや転びやすさは、「足腰の衰え」だけでなく脳や神経の病気が原因のこともあります。原因は幅広く、整形外科(腰部脊柱管狭窄症・関節症・頚椎症)、脳神経外科(慢性硬膜下血腫・脳梗塞など)、神経内科(パーキンソン病など)、耳鼻科(めまい疾患)、内科(貧血・薬剤・低血圧など)まで多岐にわたります。
歩き方の変化(小刻み歩行、すり足、すくみ足、バランス不良など)は重要なサインで、ご家族が気づくことも少なくありません。まずは脳や神経の異常、とくに治療可能な病気がないかの確認が大切です。
当院ではMRIや血液検査、重心動揺検査などを組み合わせて評価を行い、必要に応じてリハビリや専門医療機関への紹介につなげます。早めの受診をご検討ください。
「見え方がおかしいが眼科では異常なしと言われた」「二重に見えるため脳神経外科を勧められた」などの場合、原因が脳にあることもあります。視覚は目だけでなく、視神経や後頭葉で処理されるためです。特に複視(ものが重なって見える)や視野障害は、脳の病気が関係していることがあります。
複視は、目を動かす神経の異常で起こり、脳動脈瘤や腫瘍による圧迫が原因となることもあります。視野障害は多くが眼科疾患ですが、脳梗塞や下垂体腫瘍が見つかる場合もあります。後頭葉の脳梗塞では、視野障害だけで発症することもあります。
また、一時的に片目が見えにくくなる一過性黒内障は、脳梗塞の前兆の可能性があります。眼科か脳神経外科か迷う場合は、まず当院へご相談ください。
顔のゆがみ、まぶたの下がり、口元の下垂や飲み物がこぼれるといった症状は、顔面麻痺の可能性があります。顔面神経の異常で起こり、脳の病気による「中枢性」と、より一般的な「末梢性」に分かれます。中枢性は脳梗塞や脳腫瘍が原因となることがあり、末梢性はウイルスによるものが多く、早期に抗ウイルス薬やステロイド治療を行うことで後遺症の軽減が期待できます。
一方、顔のしびれや鋭い痛みは三叉神経痛の可能性があります。洗顔や歯磨きなどの刺激で痛みが出るのが特徴で、血管が神経を圧迫することで起こります。MRIで評価し、内服治療を基本に、重症例では手術やガンマナイフ治療が検討されます。まずは専門医へご相談ください。
「最近物忘れが増えた」「人や物の名前が出てこない」など、ご自身やご家族の変化に不安を感じていませんか?「年のせいかも」と様子を見てしまいがちですが、原因はさまざまであり、必ずしも認知症とは限りません。
物忘れの原因には、アルツハイマー型認知症以外にも、治療によって改善が期待できる病気が含まれることがあります。代表的なものとして特発性正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍などがあり、頭部MRIで原因が見つかる場合もあります。また、ビタミン不足や甲状腺機能異常、うつ病などの内科・精神的な要因が関係していることもあります。
近年はアルツハイマー型認知症においても、早期診断と治療介入により進行を抑える新しい治療が登場しています。生活習慣の見直しや予防的アプローチも重要とされており、以前よりも前向きに向き合える時代になっています。
また、認知症と診断された場合でも、治療薬の調整や周辺症状への対応、非薬物療法など、さまざまな支援が可能です。運転免許や介護申請など生活面の不安についても、専門スタッフがサポートいたします。
反応が鈍い、会話がかみ合わない、急に元気がなくなるなど、普段と違う様子が見られる場合は注意が必要です。脳梗塞や脳出血などの脳卒中のほか、慢性硬膜下血腫、非けいれん性てんかん発作などの脳神経疾患が隠れている可能性があります。
脳炎や脳症などが疑われる場合には、髄液検査などの専門的な検査が必要になることもあります。
一時的に数分〜数時間だけ様子がおかしく、その後回復する場合は診断が難しくなることがあります。ご家族など周囲の方の気づきや、スマートフォンでの動画記録が診断の手がかりになることも少なくありません。
症状が急に出現した場合や、徐々に悪化する場合は、早めの受診をおすすめします。
自分の意思に反して手足が動いてしまう状態を「不随意運動」といいます。安静時にふるえる、動作時に強くなるなどタイプはさまざまで、最も多いのは体質的な本態性振戦です。飲酒で一時的にふるえが軽減するのが特徴で、内服薬による治療が可能です。
また、筋肉がねじれたりこわばる「ジストニア」と呼ばれる不随意運動もあり、症状が強い場合はボツリヌス注射や脳深部刺激療法(DBS)などの専門治療を行うことがあります。
一方、けいれん発作は脳の電気活動の異常により起こり、手足のけいれんや体の硬直を伴います。てんかんのほか、小児の熱性けいれん、既往疾患、不整脈など心臓の病気、心身反応など原因はさまざまです。
発作時は慌てず周囲の安全を確保し、速やかに医療機関への受診・搬送を検討してください。
急に意識を失う、目の前が暗くなるといった症状は、脳・心臓・血圧の異常が関係していることがあります。くも膜下出血やてんかん発作など脳の病気が原因となる場合もあり、頭痛の有無や回復後の様子に注意が必要です。
一方で、数分で普段通りに戻ることも多く、失神の原因はすぐに特定できないことも少なくありません。不整脈や弁膜症などの心疾患が隠れていることもあるため、繰り返す場合は心電図やホルター心電図、心エコーなどで慎重に評価します。
また、緊張、飲酒後、長時間の入浴、排尿前後、服薬後など特定の状況で起こることもあります。倒れた状況や前兆、回復までの経過を把握しておくことが診断の手がかりになります。
頭部外傷は日常的に起こりうるもので、直後に症状がなくても後から脳内出血などが現れることがあります(遅発性)。当院では脳神経外科専門医が診察します。縫合が必要な傷や出血が止まらない場合も対応可能です。
特に高齢者では、後から血がたまる慢性硬膜下血腫に注意が必要です。お子さまの外傷では、傷跡や安全性に配慮した処置を行います。
脳神経の病気は、日常的な症状として始まることが多く、「様子を見るべきか迷う」ケースも少なくありません。気になる症状が続く場合や、いつもと違う変化を感じた場合は、早めに脳神経科へご相談ください。
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